17 安全運転の為に②
俺は昔、某大手運送会社で働いていた。誰もが知る名のある運送会社だ。会社は社員教育で交通安全について色々と教えてくれた。そんな中でも特に心に印象に残っている事がある。死亡事故を起こしてしまった加害者の手記だ。
死亡事故は加害者も被害者もどちらも地獄である。
交通事故加害者の手記「贖い(あがない)の日々」 から
(Google 検索 「交通事故 贖いの日々」)
死亡事故加害者の手記
『一瞬の出来事の先には』 K・K 31歳
本文から一部抜粋
被害者の方は仕事に向かう途中で、押しボタンの横断歩道で青になるのを自転車にまたがり待っていたそうです。3人の娘の母親で、やっとお子さんが大人になり手が離れ、娘さんの晴れ姿を楽しみにしていた人生を、私の自分勝手な行動ですべて奪い去ってしまったのです。
更に1年も経たずに、今度はお父様も亡くなられました。これは私のせいで心労や寂しさが重なり、二次被害を与えてしまったと思いました。家族を失った人の傷は計り知れず、とても深く重いものだと思いました。
そして、被害者だけでなく、私の周りの人たちにも被害を与えてしまいました。 私自身が何かを失うことは当然のことですが、妻、両親、兄弟、会社の皆さまにも大変な迷惑を掛けてしまいました。
中でも仕事中の事故ということで会社は罰金、1ヶ月間指名停止で仕事がもらえず、専務さんも中期免停になりました。そして、一番は会社の信用、信頼というお金では手に入れられないものを失うのが大きかったと思います。後悔先に立たずとは本当です。
私自身の気持ちの中に、遵法精神が欠けていたからだったと思います。
『ハンドルの重さ』 H・N 40歳 会社員
本文から一部抜粋
救急車が到着し「即死です」と聞かされたとき、絶望感を感じました。
逮捕され留置場に入った私は、時間が経つにつれ大変なことをしてしまったという気持で一杯でした。夢であって欲しいと何度思ったことか、死んでお詫びをしようかとも何度も考えました。
留置場に入って3日間は何もできずただ被害者のことしか考えられず、私は人殺しだと自分を責め、泣いた時もありました。
そのとき、遺族の方に「飲酒運転さえしなければこんなことには…もう主人は戻らない。幸せだった生活を返して下さい」と言われた私はどのような言葉や態度をしたら良いか分からず、頭を下げているのが精一杯でした。亡くなられた被害者は新婚3ヶ月で、遺族の憎しみと怒りに満ちた目が印象に残っています。
そして、遺族から思わぬ言葉を頂いたのです。「救急車を呼んでくださってありがとうございました。あなたにも家族が居るのだから同じ過ちを二度と繰り返さず、これからは人生前向きに生きてください」と言われたのです。自分の身勝手な行動で一人の尊い命を奪ってしまったというのに反対に励ましの言葉を頂いたのです。
私の家族は両親と妻、子供3人の7人家族でしたが、被害者が近所ということもあって妻子は引っ越し、両親と別々に暮らしています。子供たちは、学校で友だちから私の話を聞かされ辛い思いをしているそうです。元気がないようですが、私に心配をかけまいと手紙には一言も書いてこないのです。 私は最愛の家族の幸せな生活までも一転させてしまいました。 私のために辛い思いをして待っていてくれる家族、励ましてくれた友人、会社関係の方々に対し感謝を忘れず、一日でも早く出所出来るよう努力したいと思います。 この受刑生活の中で自分の考え方や行動を見つめ直し、被害者のご冥福を心からお祈りするとともに、遺族に対し一生償いをしていこうと思います。 私は今日も精一杯大きな声を出して行進します。家で待っている家族に声が届くように…。
慣れた道路だから大丈夫と、疲れていて一瞬の眠気で・・・
が、これから恩返しがしたかっただろう娘3人の母親の命を奪った。
ダメだとわかっていたが、「自分だけは大丈夫」の飲酒運転で・・・
が、新婚3か月目の夢も希望もある奥さんから、愛する旦那さんを奪った。
誰も事故を起こしたくはありませんが、2015年は全国で4117人が交通事故で死亡(24時間以内)しており、1日約11人が交通事故の加害者になっています。
死亡事故を起こしてしまった加害者達も交通事故の被害者。
絶対に交通事故を起こしてはいけない!
という強い信念を持ち、事故を起こさない運転をしましょう。
交通事故を起こさない為に
車(バイク)は人を殺せる凶器
車(バイク)を運転するからには、こういう自覚を持たなければならない。
ハンドルを握る事は、凶器を操作するという事。その使い方を間違えれば自分も相手もどちらの人生も狂わせ不幸にする。
100km/hでの追突は、ビル10階からの落下に相当する衝撃と心得よ!
(大阪府警 HP 死亡事故にあわないための50の心得 から)
時速100km/hで人に衝突すれば、相手も自分もただでは済まない。
車又はバイクに乗るという事は
人を殺せる凶器を操作する事
と言う認識を持つ事だ。
スピードの緩急という考え方
おれのPCXは最高で105km/h位のスピードが出る。昔、RGV250γでは180km/hくらいのスピードはすぐに出た。
バイクとはすぐにそれだけのスピードを出せる乗りものである。事故を起こしたくなければ、事故が起きないくらいのスピードで走ればよい。
例えば生活道路で駐車車両があり見通しが悪く、自転車や子供が飛び出してきそうな所で、すぐに止まれないスピードを出していると歩行者や自転車と事故る可能性が高い。(生活道路で夏休み中などは交通ルールを知らない小学生の子供たちがたくさんいる。)
逆に100km/h出していても、歩行者のいない道路(高速道路や自動車専用道路など)では歩行者や自転車との事故の可能性はかなり低い。
事故が起きるには相手が必要なので、事故る相手がいる場所ではスピードを出さないようにする事が大事だ。
運転は状況を考え、スピードの緩急をつける事。
譲る気持ちが安全運転の基本
事故は相手があって成り立つ。お互いが
「どうぞ、あなたが先に行って下さい。」
という譲る気持ちを持っていれば、事故は起きない。
逆に、お互いが
「俺が先だ!じゃまだ、どけ!」
という敵対心がある気持ちを持っていれば、事故につながる。
こちらが優先道路だから!
自動車とバイクではバイクが優先だ!
直進と右折は直進が優先だ!
今日は急いでいるから、黄色信号でもつっこむぞ!
こういう自己中な心理が、交通事故を起こす原因だ。
「相手(世の中の人々)は敵ではなく、身内だ。」と思うようにし、運転がとろいおばちゃんをみてもイライラせずに、「うちのおかんもあんな感じやなあ。」と逆に守ってあげるべきだ。
他府県ナンバーの車が、右に曲がるのか左に曲がるのかと低速でウロウロしていてもイライラせずに、「あ、他府県ナンバーの車が道を調べながら走っているんだなあ。俺もたまにあるわ。」と逆に道路を教えてあげるくらいの行動をするべきだ。
譲る気持ちは『美しい感情』だ。
世界は美しく出来ている
一時の負け(追い越されただの、自分より先に相手が行っただの)は負けではなく、譲ってあげた結果だ。
心にゆとりを持って、お互いに譲り合いの運転、思いやり合う運転をする人が増える方向へ向かっていると思う。
世界は間違った方向に進んでいない。
世界は美しく出来ていて、
美しい心の持ち主が最後は勝つように出来ている。
なるべく早くこの事に気付き、自分の人生も、そしてバイク人生も美しい状態で保つようにするといい。
一度の人生、何が正しいかは自分で決める。
誰に何と言われようと、人間として正しい行いをすべきである。
世界は美しいのだ。
失ってからわかる大切さ
このページでは死亡事故を起こした加害者にスポットをあてました。
年間数千人が死亡事故の加害者になっていくのが今の世です。確かにバイクって便利ですよね~。危険な所が魅力なんて人もいますよね。
でもちょっと待ってください。
死亡事故を起こすと全てを失いますよ?
バイクは人を殺す事が出来る凶器にもなるのですね。ハンドルを握る以上、「人の命を預かっている」くらいの気持ちは持つべきですね。
絶対に事故をしない!
という強い決意を持ち、安全運転に徹してくださいね。
PCX物語 第一章 はこれで終了です。
続きまして、第二章の始まりです。